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地之巻
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兵法の道について記す。剣術だけをやっていては真実の道は得がたい。大きな所から小さい所を知り、浅いことから深いことへ至る、そのまっすぐな道を地面に描くということから「地之巻」と名づける。 |
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水之巻
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「二天一流」について記す。水を手本として、心を水のようにする。水は、容器の形にしたがって四角になったり円形になったりする。水はわずか一滴のこともあれば、広大な海となることもある。一をもって万を知ること、それが兵法の効用である。そこで我が流派のことを、この「水之巻」に記す。 |
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火之巻
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戦いのことについて記す。個人対個人、集団対集団の戦いも同じである、戦いにおいての心構えなどを記す。大きな所は見えやすいが、小さな所は見えにくい。大人数の事は即坐に変えることは難しいが、一人の事は心一つでさっと変るので、小さな所は逆に知ることが難しいからだ。この点をよく吟味しておくべきである。戦いのことを火の勢いに見立て、「火之巻」と名づける。 |
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風之巻
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他の流派について記す。「風」というのは、昔風、今風、家風などのことである。他の事をよく知らずしては、自身の理解も成りがたい。いろいろな道においてさまざまな事を行うに、外道ということがある。心が道に背いていては、自身は善いと思っていても、まっとうな所から見れば、真実の道ではない。これらの他流批判をすることにより、二天一流の有用性を「風之巻」に説く。 |
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空之巻
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兵法の本質としての「空」について記す。道理を得てしまえば、道理を離れ、兵法の道におのずと自由があり、おのずから不思議なほど優れた効果を得る。時に相応しては拍子を知り、おのずから打ち、おのずから当る、これみな空の道である。そのようにおのずから真実の道に入ることを、「空之巻」と名づける。 |
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