投稿コーナー

「PMOのパラドックス」

石原 信男:11月号

 PMO(Project Management Office)がうまく機能してプロジェクトが成功した、一方で、機能せずにPMOは思ったほど役に立たなかった、まだPMOの概念や定義も定かでないままに評価が分かれているようです。どちらかといえば期待したほどの成果が得られなかったという評価が大勢をしめているようです。
 PMOというある種の機能組織が、期待に応えてプロジェクトマネジメントを成功に導く機能を有しているとするならば、それはPMOという「組織の形」にあるのではなく、そこにアサインされたメンバーのもつ個々の機能が有機的に組み合わさってチーム機能にまで昇華した、いわゆる「マネジメント力」としてのまとまりにあると筆者は考えています。
 PMOがうまく機能しているということは、それを実現させるにふさわしい実践力を伴ったメンバーをアサインできるだけのPM成熟度の環境下にあるということで、端的にいうならば、PMOをあえて編成しないでもプロジェクトを成功させるに足るマネジメント力の土壌が整っているということです。
 これに対しPMOがうまく機能し得なかったということは、PMOの機能を充足させるに必要な実践力を伴うメンバーの確保が困難なPM成熟度にとどまっているということです。
 つまり、プロジェクトの成功を導く機能に富んだPMOを構築できる企業はPMOの必要性は低く、PMOの必要性の高い企業は期待に応えられる機能をもつPMOの構築がむずかしい、昨今のPMO論からはこんなパラドックスが根底に潜んでいるのをうかがわせるような論説も目にするようになりました。
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