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「国際会議での質問を考える」
〜ITベンチマーキングSIG〜

株式会社ビズモ 板倉 稔:5月号

 2008年3月10日と11日の両日に、国際会議"IP&PMS2008"が、東京のタワーホール船堀で開催された。大会は、発表内容、運営ともにすばらしいものであった。
 この会議で、友人のグプタ氏と私で、「Japanese and Indian Culture for Systems Development」と言う題で話した。掛け合い漫才風にやろうと思っていたが、英語で漫才風にやるのは難しかった。今日は、発表に関連して国際会議での質問に関する雑感を記す。


1.質問は分からなくても答えられる
 上記の私たちの発表には、2つ質問があった。一つはグプタ氏が受け、もう一つは私が答えた。発表終了後に、ある人から「質問の意味が良く分かりましたね」と言われた。確かに、質問に答えたことは事実だが、実は、私は質問の意味が分かったわけではない。質問者の話の中の分かった部分から想像して、こう言っているに相違ないと考えて答えたにすぎない。しかし、質問者は回答にうなずいていたから、多分想像はあたっていたのだろう。
  もし、私が、質問と違う答えしたとすると、質問者は、大抵の場合、再度立ち上がって「My question is ・・・・」と言って、もう一度聞いてくる。質問者は、「今度は、質問を分かってもらいたい」と思うので、より易しく、具体的に聞いてくる。前の推測とは違う訳だし、今度は分かるので、ちゃんと答えればよい。
1〜2度「Pardon?」と言って、それでも、質問が分からない時は、何か答えてしまうことである。質問か意見かさえ分からない時は、いきなり自分の意見を述べてしまえばよい。
 別の経験であるが、7人程の小さい会議で、4人が海外からの人、3人が日本人で言語は英語である。その会議で、私がある質問に答えた。ところが、私の隣の日本人が私の回答は質問と違うと言った。そこで、その男が答えたが、またその隣にいた米国留学帰りの男が、両方共、回答が質問と違うと言った。そこで、3番目に彼が答えた。
  聴き手を観察していたところ、私と2番目の回答には、彼らはメモをとっていた。しかし、3番目の回答にはメモをとっていなかった。つまり、質問と違う回答の方が相手の役にたったと思われる。
  日本語での質問/回答でも、とんちんかんなやりとりはかなり多い。英語だって同じことである。「誤解は、進歩の源泉なのだ」と思って、図々しく答えたら良い。

2.質問することは義務なのだが
 日本での日本人に対する発表では、質問がないことが良くある。しかし、海外で発表、と言うより米国での発表であるが、発表に対して質問や意見がないのは、発表がつまらなかったからと考えられてしまう様である。
例をあげよう。2000年に、ダラスでIDPT2000(INTEGRATED DESIGN & PROCESS TECHNOLOGY)が開かれた。あるアメリカ人が、日本に関する話を発表したが、質問がでない。その場には、20人位聴衆がいたが、日本人は私だけの様であった。私は、言いたいことはあるし、何か言うべきである。しかし、英語で言うのは嫌だなと、うじうじしていた。しばらくしても、質問も意見も出ないので、勇気を出して手を挙げた。
  私の意見について、ちょっとやりとりがあって、無事発表は終了した。セッション終了後に、発表者が私を追いかけてきて、私にお礼を言い、彼が運営しているサイトのサービスを無料で使えることになった。わざわざ礼を言いに来た訳である。余程うれしかったのだと思う。
  今回の会議でも質問がない発表があった。開催国の人間として、何か質問をするべきであったと思う。とはいっても、中々、質問するレベルの理解はできないし、英語で質問する勇気もでない。それでも、英語が下手なのは当たり前と割り切って質問をする様にしたいものだ。かく言う私も、今回、たった1つしか質問をしていない。

3.発表と質問の意味
 上述のIDPT2000では、私も発表した。いくつか質問が出て、その中の一人の質問者が、セッション終了時にやってきて、そのままロビーに移動して議論を続けた。次のセッションが、始まってもおわらない。「次のセッションで聞きたいのがあるので」と議論を切ってやっと解放された。
  確認したい事をロビーで確認するとよく分かる場合が多い。相対で話すと、こちらの英語のレベルに合わせて話してもらえるのと、式や図やスペルを使っての会話ができるからである。
 有名な先生がいる発表では、質問が活発である様だ。有名な先生に、自分を売り込みたいと考えるのだろう思っている。
 ロビーでの人々の動きを観察していると、旧交を温める人達、発表内容の確認をしている人達、自分の意見に対する発表者の意見を求める人達など様々なグループに分かれる。これらを見ていると、発表自体は、これから同好の士を見つけるインデックスに過ぎず、発表後のロビーが主戦場である気がする。しかし、一般に、海外で発表が終わるとホッとしてしまう日本人が多い。もったいないですね。

以 上

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