トピックス(活動報告)

「事務局だより」
関西で初のPMAJシンポジウム開催

事務局:6月号

“プロジェクトマネジメント・フォーラム2007KOBE”
―この自立・組織の成熟―
と題したシンポジウムは平成19年5月26日(土)神戸市産業振興センターで開催され、 270名が参加しました。主催者、講演者、聴衆間の一体感で熱のこもったシンポジウム でした。このシンポジウムはPMAJとしては関西で始めての開催でしたが、関西例会で 鍛えた50名のボランティアの人々の活躍で見事な運営が行なわれました。

基調講演1: 「付加価値創造に向けた軸のぶれない技術経営(MOT)のあり方」
神戸大学経済経営研究所 延岡 健太郎 教授
基調講演2: 「勘当―心・感性の成長が導く個人の自律・リーダーシップ」
(株)神鋼ヒューマン・クリエート 林 敏之 氏

基調講演1では延岡先生が最近の日本の製造業の実態の話をされ、価値創造と価値獲得と いう概念が主題でした。日本企業の製品は多くの消費者が購入する申し分ない製品を提供 する意味で価値創造性は高い。しかし価値獲得(利益を上げる)という企業目的で満足度 が低い点を指摘。米国企業との比較説前があった。その原因は米国では自社の戦略が他社 のやらないものに特化して開発を進めているのに、多くの日本企業は他社と同じものを開 発している。これではコスト競争になって収益がでない。しかし、他社に先駆けて自社の 信念で新しいコア技術を開発し、コア技術という軸を中心にぶれることなく進めてきた企 業の収益率は他社に比して高いことを指摘された。また、他者に真似されない手法として 組織能力(定着に10年かかるようなもの)の強化という点を指摘された。

基調講演2では同志社、神戸製鋼、全日本ラグビー代表のそれぞれのキャプテンを長く務 めた林 敏之氏は自分がキャプテンを全うできたのは「感動」のお陰であるとして、高校 時代全日本代表に選ばれたときのコーチ、同志社時代の監督から多くのものを学んだ。特 に負けたとき悔しさを叩き込まれ、これを乗り切る中で多くの感動を得た。自分が自ら考 え、行動できるという「自律」型の人間になれたのは「感動」によって大きく心の成長が 進んだからだと臨場感あふれる実例が話されたが、話の迫力はすざましく、言葉が切れる と一瞬場内が一点に向かって集中する静けさがあり、「感動のすざまじさ」を体験した。走 って、走って走りまくる。やるだけのことをやって得る勝利がまた感動を生み、この感動 がチーム全体を統合する力になっている。
今の時代は乾いた時代になった。水分が抜けて人間が軽くなり、生活が軽くなり、湧き 上がるものがなくなっている。逃げることがうまくなった。逃げては駄目だ、悔しさの中 から何かが見えてくる。今の日本に必要なのは「One for all, all for one 」である。
午後のトラックは12セッションあり、PMAJの研究会の成果発表が3件あり、その他も 含めて内容の高いシンポジウムであった。(渡辺 貢成)
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