働きやすいプロジェクト環境のために

働きやすいプロジェクト環境のために(番外編)
PSチームシドニーへ

花水木:12月号

 「働きやすいプロジェクト環境のために」を連載中の「PS研究会」のメンバー4人が、9月にシドニーで開催された「ProMAC2006」で論文発表(&英語でプレゼンテーション)をした。この原稿ではその様子をレポートする。

 会議概要

 ProMACは、アジア、オセアニア地区で2年ごとに開催されるプロジェクトマネジメント学会の国際大会で、PMをテーマとした世界最大級のカンファレンスのひとつである。第1回開催は、2002年7月シンガポール、第2回開催は2004年10月日本(幕張)、第3回開催が今回、2006年9月のオーストラリア(シドニー)である。会議の正式名称は、「3rd International Conference on Project Management (ProMAC2006)」。今回は、20カ国から1000件を越える論文申込があり、最終的に155件が採用された。最終的に、22カ国から600人以上が参加、日本からも100名強が参加し、50件の発表があった。

 シドニープロジェクトとPSチームの奮闘ぶり

 PSチーム内で「論文を書いてシドニーに行こう」というプロジェクトを、今年の2月に立ち上げ、一次審査にあたるアブストラクト(梗概)の作成・英訳・提出・審査結果対応、本審査に相当する論文(フルペーパー)の作成・英訳・提出・審査結果対応という数多くのタスクをこなしてきた。この結果、4名が論文発表の権利を得ることができた。その後、プレゼンテーションパッケージの作成・英訳・練習、および渡航手配・準備という出張そのものタスクも完了した。メンバー同士、お互いの切磋琢磨、励まし、そしてPSチームが得意とする「相手をほめつつオシリをたたく」プロセスがなければ、私自身も脱落していたことと思う。一緒に進む仲間がいて、心強く、ありがたかった。会社や研究チームでの組織的な支援があるに越したことはないが、それ以上に、一緒に走る大勢の仲間が居ることで、多くの困難を乗り切ることができると感じた。
 発表した4人は、出発直前まで「入門英語プレゼンテーション」というテキストを読み、当日の朝までプレゼンテーションファイルを直しつつ、とにかくPSの研究成果を英語で世界に伝えてくる!という意気込みであった。4人それぞれが、無事発表を終え、会場からの質疑応答に答え、発表後もディスカッションすることによって、さらに学びを深めることができた。

 Lessons Learned(教訓、得たこと)

 国際会議での自分の発表を通して、また、他者の発表を聞き、「現場ベースのプロジェクト管理」の重要性と、それを支える「理論」の重要性が再認識できた。現場と理論はどちらも重要で、プロジェクトを回す両輪であると確認した。また、英語でのプレゼンテーションのノウハウを習得することができた。
 番外編では、大会の運営ぶりを通して、オーストラリア人の仕事の進め方を垣間見ることができた。たとえば、私たちは大会プログラム(スケジュール)に間違いがあると、大慌てで修正するが、彼らは「あ、そう?」などと、実におおらかでのんびりとしたものだ。それで物事が済むのだから、かの地ではそれでよいのかもしれない。
 今回発表した日本人は、若手とシニアとに二極化されていたように思う。実際に現場でプロジェクトを漕いでいる30〜40代は少ない。多忙な中、自分の仕事を文章にして形にする作業が望まれる。その作業は決して楽ではないが、しばらくしてから、大きな学びと喜びとなって戻ってくる、そう信じている。


 著者:花水木(はなみずき:ペンネーム)
PS研究会メンバー。IT企業の技術職で、ソフトウェア開発のプロジェクトチームに参加しつつ、プロジェクトという閉ざされた空間で、いかに個人が幸せに過ごすかを追求中。「働きやすいプロジェクト環境のために」コラムの編集チームのメンバー。
※今回発表したPS研究会の4名の論文が読みたい場合、こちらからお問い合わせください。
ページトップに戻る