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P2M実践事例研究会(調査研究とマニュアル作成)参加者募集の件

P2M部会長 梶原 定
発起人代表 渡辺 貢成PMS

1. 趣 旨
 PMAJが発足しました。新組織はP2Mを信奉する人々や、PMBOKを常時使っている人々がおります。PMBOKはIT業界で、PMのデファクト的な存在となっていますが、P2Mはまだ発展途上の域であります。しかし、新しい複雑性、不確実性の高い現代社会の要求に応えることのできるPMとして世界で注目され始めています。私どもは日本人がつくったものを軽視する風潮がありますが、育てることの重要性を認識しています。

 P2MではPMSという資格者が既に2,000名強おり、またPMR、PMC資格者も今後続々と誕生します。これらの資格者やP2Mを発展させたいと望む多くの人々に役に立つ研究を進めるというのが、本P2M研究会発足の趣旨です。

 昨年度までにPMCCでは種々の研究委員会が実施され、その報告書が出版されています。本年度はこの研究活動が組織合併の多忙さを含めて停滞しています。今回の研究会は、これまでの研究成果を踏まえ、更にユーザーの声を入れ、P2Mを提供する側の論理のみでなく、ユーザーの視点を重視し、1歩前進した研究活動を進めたいと考えています。これらの目的を達成するには、事例経験の多い実践者が数多くこの研究会に参加されることが望ましいと考えております。

 本研究の成果は報告書として出版します。内容はPMS取得者にとって使いやすい内容を考えています。

2. これまでPMCCにおいて実施された当研究に関連する研究報告
(1) プロファイリングマネジメント研究開発(報告書)
(2) P2Mアーキテクチャ研究開発(報告書)
(3) P2Mバランススコアカード開発(出版)
(4) その他

3. これからの研究
 研究の内容は学際的なものと実践的なものにわけられます。学際的な研究に関しては国際P2M学会が設立された関係上、PMAJは実践的な研究に取り組むことになります。研究会の内容は研究会に参加される方々の提案によって行われますが、PMS資格者の活躍の場が増える内容が望ましいと考えています。

(1) PMS資格者を対象とした研究会の発足
(2) 業界別 P2Mガイド実用マニュアルの作成
(3) PMS、PMR資格者からの要望募集
(4) 企業競争力強化型アーキテクチャ事例補強研究

【テーマ1:P2Mの業界別テキストの作成(事例を多く入れ〈もの〉研究)】
 JICA(国際協力機構)は本年JICA内でJICAプロジェクトへのP2M適用研究を進めている。これはJICAがODAプロジェクトを実施するにあたり従来からの手法では対応範囲が制限されるため、P2Mを評価し、JICAプロジェクトにP2Mの採用を決定することを考え、使いやすいマニュアル制作を考えた。この考えを広めると、業界別に使いやすいテキストブック或いはマニュアルをつくることでP2Mを採用する企業がふえ、P2M普及に貢献することが期待できる。
 事例:業界で実施されているプロジェクトの事例を取り上げ、プログラム統合マネジメントの手法で業務プロセスを書き上げ、その業務遂行過程で使用される手法、ツール類を示し、解説つきの添付資料として付加することで、利用者の利便性を図る。

【テーマ2:PMR、PMS資格取得者からの要望事項をまとめて、新しい研究テーマをこれから考える】
 例えば:「P2MとITソリューションビジネスの実践事例収集と解析」
 詳細説明省略

【テーマ3:P2Mと企業競争力型アーキテクチャの事例強化研究】
(1)昨年の実績
 昨年度プロファイリングマネジメント研究委員会でプロファイリングの研究をしました。プロファイリングマネジメントで「ありのままの姿」を描くことが意外に困難であることが分かりました。そこで「ありのままの姿」を俯瞰することを考えました。俯瞰とは「企業の価値とはどこから生まれるかを構造化して俯瞰する」こと意味します。

 本図は企業における価値の発生する場所を8つの軸に分割して表現しました。
@ 顧客関係性構築力
A マーケット開発力
B 販売開発力
C 商品提供力
D サービス提供力
E 経営資源蓄積力
F 業務プロセス活性化力
G 価値創出機能組織力
 この8つの軸はそれぞれ価値を表すことができます。@の顧客関係性構築力が高いと常に安定した経営が出来るという価値です。その価値の高さの順に軸の上にその価値をプロットします。例えば顧客との信頼の絆向上、顧客業務の習熟度の向上、顧客満足度の向上、顧客との共同研究、顧客代行業務の増大などを評価点としますと、自社の顧客に対する価値の向上が見えてきます。発想を変えるとどのように価値をつくりあげていくかが可視化されたことになります。他の軸についても同様にどのような価値がつくれるかを考えプロットします。この作業で自社の価値創出のレベルを「ありのままの姿」として捉えることができます。企業価値の創出とは経営力そのものであり、これを経営力強化展開図としました。英語ではP2M VWM? OW Model(P2M価値創出の輪 小原・渡辺モデル)としまして登録しました。

 しかしこの構造図を眺めますと、企業競争力が構造化された図となっております。現在は「P2M企業競争力強化型アーキテクチャ(構造化された設計思想)俯瞰図」と命名し、多くの事例を集めて競争力の構造化を進めているところです。そのためには多くの事例を集め、より使いやすい形にする必要があると考えています。

(2)2006年度研究内容
1. 事例集めとOWモデルの高度化(モデルの立体化)
2. 各軸の価値向上のための要素(プロットした点)を使いやすくする作業
3. 財務指標と競争力とOWモデルとの関連研究
4. 最近出版されたブルーオーシャン戦略におけるバリュー・イノベーションとの整合性
5. その他
を実施します。

(3)研究者とPMS、PMR資格者にどのようなメリットがあるか。
 現在企業経営者は企業競争力強化と口にしながら、競争力の仕組み(メカニズム)を理解していません。そこで「売上を伸ばせ!」、「収益を拡大せよと!」と部下に指示を与えますが、具体的に何をして収益を上げろという指示を行わず、結果のみで成果が出たかどうか判断しています。これは科学的な経営とはいえません。OWモデルは企業競争力の構造を示しています。どこで価値をつくり出すと競争力が増大するか可視化できます。「ありのままの姿」を描くときのチェックリストとして活用できます。これを資格者の視点で考えていただく研究です。

 ITソリューションをビジネスとするベンダーは「AS is」を見つける道具として活用できます。新しいビジネスモデル構築を研究している人にとって、数種類の軸の組み合わせによって新ビジネスが誕生させることができます。

4.  これからのスケジュール
1)募集:06.01.21
2)2006年度研究予算申請(1月30日まで)仮申請
3)初期会合:06.03.01
4)テーマ募集:
5)テーマ別研究会の設立:06.03.15.
6)研究内容と予算の申請:06.03.末確定
7)2006年度研究のための準備期間(06.03.01.〜06.03.31.)
8)2006年度P2M実践研究発足(06.04.01.発足予定)
9)研究会は月1回程度必要に応じて増やすことは可
10)報告書作成時合宿も可能

5. 報告書作成:07.03.10.
 中間段階で発表の可能なテーマはPMシンポジウムP2Mトラックで発表可能

6. 研究活動とCPU得点
 レポート作成、発表で高得点を得られます。

7. 募集
 応募者は事務局にメールください(宛先はこちら)
1) 名前
2) 希望のテーマ