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[2004年10月号]


PMRの認定資格制度を開始するにあたって

 日本は成熟化社会を迎え、行政や産業で改革が叫ばれている。行政は少子化が進む社会で、「民間で出来ることは民間へ」という全体の切り口で、財政再建し「小さな政府」で地方自治の仕組みに作り変えて問題解決を図る。産業界はグローバル社会で責任ある経営、破壊と創造を旗印に「オンリーワン型優良企業」を目指して、研究開発、ビジネスノーハウなど知的サービスを活かしたグローバルサプライチェーンを推進して産業競争力に注力している。その方向性は正しいが、日本の産業再生にとって最大の障害は、①既得権益へ固執、②大企業病の2つである。この障害は波及的な2次的障害も産み出している。革新への抵抗、人的資源のムダ使い、ビジネスと人材の機会損失、モラールダウン、バリューチェーンの陳腐化など枚挙に暇がない。このような障害を打破するには複雑現象のなかで新しい仕組みを創造する発想と方法を持つ実践的なリーダー人材の育成ある。
 このような全体観を持つリーダー人材育成は過去の転換期にもライン組織のタテ型のリーダーとして語られてきたが、ヨコ型のリーダー人材の提唱がPMR (Project Manager Registered)である。実務経験を保有した実践力をセンターが新たな産業人として認定するので、その活躍が期待されている。この人材に要求される能力は「チームの潜在力を引き出す」実践的なリーダーとしての影響力である。この人材像を比喩的に表現すれば、オーナーの気持ち、芸術家の気持ち、医者の気持ち、家長の気持ちを合せ持つマインドやスタイルである。オーナーは投資事業としてプログラムの構想から資金の回収までの全体を視野に入れる目を持つことに通じる。芸術家は白紙に絵や譜面を描く心を持ち続ける。医者は症状を見て病因を探り処方箋を考える。そして家長のマインドは家族というチーム、ひとりひとりに目線をやり資質、能力、生活を観て成長への心配りをする。P2M標準ガイドブックによる使命達成型職業人の資格制度が誕生して、将来の価値を創る人材育成が注目され始めた。その理由は次の4点にまとめられる。
 ①企業の生残りに仕組みづくりの発想や手法が認知され始めた
 ②プログラムやプロジェクトマネジメントの人材ニーズがますます強まっている
 ③PMSやPMRの資格制度が整備され、社会的評価が浸透し始めた
 ④PMSやPMR資格が職業人のキャリアパスや能力評価に採用され始めた


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