【基調講演-1】 災害レジリエンスの高い社会の実現を目指して
効果的な防災対策を自立的に進めていく仕組みとは
9月8日  10:00  
 講演者 東京大学教授
東京大学生産技術研究所都市基盤安全工学国際研究センター長
目黒 公郎
 セッション概要  2011年3月11日14時46分に発生した東北地方太平洋沖地震(Mw9.0)は我が国の観測史上最大の地震であり、数分間に及ぶ強い地震動や20メートルを優に超える浸水高さの津波を原因として、インフラを含む多数の構造物や施設の被害、延焼火災、地盤関連の被害を引き起こした。特に巨大津波による被害は甚大で、東北地方の太平洋沿岸部に壊滅的な被害をもたらし、犠牲者総数は死者・行方不明者2万5千人以上となっている。この地震災害は阪神・淡路大震災とともに、地震活動期に入ったといわれる我が国にとって、首都直下地震や東海・東南海・南海地震などへの対策が急務なことを物語っている。
 一方海外に目を転じれば、2004年12月スマトラ沖地震津波によって22万人以上、2005年10月パキスタン北部地震と2008年5月中国四川地震ではいずれも8万人以上、2010年1月ハイチ地震では22万人以上の犠牲者が主に建物被害を原因として発生している。
 このような災害を軽減するシステムはどうあるべきか。誰だって、地震や津波の発生阻止が不可能なことも、津波に強いまちづくりや耐震性の高い建物が重要なことも知っている。問題は「なぜそれが実現できていないのか」である。本講演においては、問題を冷静に分析したうえで、「災害レジリエンスの高い社会を実現するにはどうすればいいのか」について、課題全体を俯瞰した上でソリューションを導く全体的な概念とともに、具体的な事例を紹介する。
 講演者略歴
目黒公郎氏
東京大学教授。地震被害を代表とする災害損失の最小化のためのハードとソフトの両面からの戦略研究、内外の災害と事故の現地調査、途上国の地震防災の立ち上げ運動の実施。「現場を見る」「実践的な研究」「最重要課題からタックル」がモットー。中央防災会議専門委員ほか、多数の省庁や自治体、ライフライン企業等の防災委員を務める。書籍は「被害から学ぶ地震工学」「地震のことはなそう(絵本)」「東京直下大地震生き残り地図」「ぼくの街に地震が来た(漫画)」「緊急地震速報」「間違いだらけの地震対策」「都市と防災」など。受賞は日刊工業新聞技術・科学文化図書賞(大賞)、土木学会出版文化賞、文部科学大臣表彰(科学技術賞)など。
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