関西P2M研究会コーナー
先号   次号

「遅遅として進まない私の中国語学習の反省から」

関西P2M研究会 坂口 幸雄:10月号

 2008年8月8日、北京オリンピックが盛大に幕を開けた。中国人の民族精神、四大発明、偉大な思想家の孔子の伝統で演出され、「同一個世界 同一個夢想」という北京オリンピックのテーマで世界中の人々が喜びの気持ちを共有した。中国は日本を追い抜く目覚ましい経済成長をしており、私達は中国の話題や中国語に触れる機会が増えてきている。中国には日本にない比類ない生命力がある。4千年の悠久の歴史を持つ文化、宗教、習慣、生活・・しぶとさがある。

 中国語を母国語としている人は約12億人、世界で最も多くの人口に話されている言語である。英語と同じように中国語が仕事に役立つ時代になってきており、グローバル化の中で中国人と直接コミュニケーションできることは大事である。私の周りの中国人はほとんど日本語を喋るが、日本人で中国語を喋る人は少ない。

 PMAJの関西P2M研究会のオフショアー分科会のメンバーの中には中国語の勉強をしている人も多い。メンバーには中国人も含まれている。しかし私の場合は、ダラダラと中国語を勉強しているせいか、遅遅として進まないのである。反省を兼ねて、これまでに私のやってきた中国語学習の経過を省みることにする。
1. 小説や唐詩選を読む
 日本人は昔から漢字を学び、長く中国に知らず知らずに親しんできた。
私も学生時代を思い出して見ると、論語や李白・杜甫等の唐詩選を習ったように思う。
吉川英治の三国志も何回も繰り返し読んだ。劉備、曹操、諸葛亮、関羽・・波乱万丈で面白い。曹操は憎たらしいが人を引き付ける魅力がある。
 しかしこれら古典文学を何回読んでみても、中国語の会話には全く役に立たない。
2.好きな歌手の歌詞を覚える。
 私はテレサ・テンの歌が好きである。とにかく音程が安定して聞き惚れる、很好聽!
日本の美空ひばり、韓国の李成愛、中国のテレサ・テン(ケ麗君Dèng Lìjūn)はアジアの3大歌手とのこと、特にテレサ・テンの中国語の音楽的響きが美しい。
「つぐない、愛人、時の流れに身をまかせ、我只在乎你、小城故事、月亮代表我的心・・」とだんだん深みに入っていく。しかし、テレサ・テンの歌が上手になっても、中国語の会話の方はサッパリ上達しない。
3.中国語の会話の本に目を通す。
 「中国語のすすめ (講談社現代新書 鐘ヶ江 信光著)」を読んでみた。
この本は中国語の発音・文型・表現の基本を素人にもわかりやすく説明している。
漢字のもつ妙味 ユーモアを「幽黙」、コカコーラを「可口可楽」 という具合に。

 なぜイギリスを「英国」と書くのか、なぜ手紙で「拝啓、敬具」と書くのかも説明してくれる。日本語は中国語を切り離しては理解できない。

 「日本語の音読」と「中国語のピンイン発音」の関係を説明しているのが役に立つ。
その関係を理解すると何となくそれらしい中国語の発音が推測できる。

 とても参考になり、中国語学習へ親しみやすくする楽しいガイドブックである。
しかし、私は本を読んでもやっぱり実際の発音は分からない。
4.中国語講座のCDを聴く
 そこで次に、中国語講座のCDを買って聞いてみた。
始めは英語の「abc」である「 b p m f」から始まるが、単調で全く面白くもおかしくもない。何でこんなことを今更やるのかと根気が続かないのですぐに厭になる。テキストも「我看桃花」等「桜が咲いた」のような小学生の世界に引き戻される。オジサンの年齢には合わない。
 中国語はローマ字表記とでも言うピンインが出てくるがこれも曲者である。中国では子供でも誰でもできるそうであるが発音が難しい。中国人は基本的に口や顎の構造が異なるのかも。Zh、ch、ci、ian・・アルファベットの発音と異なる。英語のように読んでも中国語にならない。中国語(ピンイン)と日本語(音読み)の関係が分からないまま挫折となってしまった。
5.テレビの中国語講座を見る
 プログラムが有名タレントを使って面白く構成されているが、その時だけ分かったような気になるだけで記憶が定着しない。
 簡体字が曲者である。書きやすく、読みやすくするのが簡体字であるが、これが日本人から見てとんでもない変な略字になっている。

 基本単語も日本語と中国語は似てそうで似てないところがあり、そこが難しい微妙である。
 見る⇒看、聞く⇒聴、歩く⇒走・・・今までの常識を変えないといけないのである。

  四声も曲者である。慣れてないのか紛らわしい・・
妈妈骑马,马慢,妈妈骂马。ママチマ、ママン、ママ・・
 ピンインでは Māmāqímǎ mǎmàn māmāmàmǎ だとのこと。日本人にはこの発音はやっぱり無理である。中国人の顎や舌の構造は日本人と異なるのかも知れない。
「中国語の舌」に改造する必要がある。ちなみに日本語の意味は「お母さんが馬に乗る。馬が遅くて、お母さんは馬を罵る」

 我が家にはもうひとつ問題があった。チャンネル選択権がない。中国語は全然面白くないと言ってすぐにドラマ等の別のチャンネルに変えられてしまう。
6.インターネットで中国の情報を検索する
 少し寄り道をしてみる。インターネットを利用するとタダで中国の情報が得られる。私の年齢になると健康が気にかかる。中国での長寿のための「健康」で検索していると?
 「健康10訓」が出てきた。江戸時代の尾張藩重臣 横井也有の健康十訓はこの中国語の翻訳と思われる。

 @少酒多茶 shǎojiŭ  duōchá
 A少肉多菜 shǎoròu  duōcài 
 B少塩多酢 shǎoyán  duōcù
 C少糖多果 shǎotáng  duōguŏ 
 D少食多噛 shǎoshí  duōniè 
 E少言多行 shǎoyán  duōxíng
 F少欲多施 shǎoyù  duōshī
 G少憂多眠 shǎoyōu  duōmián 
 H少車多歩 shǎochē  duōbù
 I少憤多笑 shǎofèn  duōxiào

 中国語会話を知らなくても日本人ならば誰でも意味はすぐ理解できる。日本と中国は同文異種で、会話はできなくても、文字でコミュニケーションできる。
7.授業に参加する
 海外職業訓練協会のビジネスコミュニケーション講座で4日間の中国語研修をオブザーバーとして受講した。これはサラリーマンを対象にしたお勧めコースである。先生は日中の異文化コミュニケーションに精通したベテラン講師であった。
4日間朝から夕方まで6時間の集中講座である。やはりオジサンは集中しないと頭に入らない。それに14時くらいになると必ず睡魔が襲ってくる。

日本語の漢字を中途半端に知っているのでややこしい。先生は日本語と中国語の似ていて実際は微妙に異なる点について具体例を交えて上手に説明してくれる。これは分かり易く大変有効であった。

教訓 楽をして短期間でマスターするための効果的な特効薬はない!
8.最後に、プロジェクト管理に関係のある中国語の用語をピックアップしてみた

 若い方はこれからブリッジSE(プロジェクトマネジャー)を目指そう!
 ブリッジSEは中国語では「橋梁系統工程師」だそうである。
 チャオリャンシートンコンチェンシqiáoliáng xìtŏng gōngchéngshī

 下記の用語の順番は日本語、中国語、ピンインである。英語の翻訳は日本と中国は基本的に異なる。日本語は単に英語をカタカナにするだけだが、中国語は真面目に本来の意味を十分考慮して変換している。

   プロジェクト  項目 xiàngmù
   プロジェクトマネジメント 項目管理 xiàngmù  guǎnlǐ
   プログラムマネジメント 计划管理   jì huá  guǎnlǐ

   スコープ 围 fàn wéi 范围は範囲の簡体字
   タイム 时间  shí jiān
   コスト 费用  fèi yòng
   品質 质量  zhì  liáng
   人的資源 人力资源  rén lì zīyuán
   コミュニケーション 沟通  gōutōng
   リスク  风险  fēng xiǎn
   調達 采购  caigòu
   アーンドバリュー 実現価値 shíxiàn jiàzhí

   立上げ 启动  qi dòng
   計画  计划  jì huá
   実行 执行  zhíháng
   監視・コントロール 监控  jiānkòng
   終結 收尾  shōuwěi

   システム  系统  xìtŏng  情報  信息  xìnxī
   ソフト、ハード、コンピュータ 軟件、硬件、電脳  ruǎnjiàn  yìngjiàn  diànnǎo

 たぶん文中の中国語、ピンインには誤字脱字がたくさんあると思われるのでその点ご容赦願いたい。
以上
ページトップに戻る